呼吸療法認定士の資格の取り方や受験資格、合格率、更新制度まで徹底解説！

呼吸管理の専門知識を証明できる資格

看護師・臨床工学技士などが対象

日本呼吸療法医学会など3つの学会が認定する資格

呼吸療法認定士は、一般社団法人日本胸部外科学会、一般社団法人日本呼吸器学会、公益社団法人日本麻酔科学会の3学会が共同で認定しています。
そのため、学会が提供する講習内容は医学的根拠に基づいており、医療者として信頼できる知識を効率よく学べる点が大きな魅力です。
また、学会が管理している資格であるため、全国どこの医療機関でも評価されやすく、転職時にも強みとしてアピールできます。

チーム医療で活かせるスキルを証明

呼吸療法認定士は、単に知識を持っているだけでなく、チーム医療の中で呼吸管理を支える役割を果たせる点が評価されています。
たとえば、人工呼吸器の設定について医師と相談したり、看護師同士で患者の状態を共有したり、リハビリ職に離脱のタイミングを伝えたりするなど、多職種と連携する場面は少なくありません。
このような場面で、「呼吸の専門知識を持つスタッフがいる」ことは現場全体の安心感につながり、医療チームの質そのものを高める役割を果たします。

日本呼吸療法医学会の講習会に申し込む

講習会修了後に認定試験を受験する

講習会と試験の両方を合格して取得

呼吸療法認定士の資格を手に入れるためには、講習会の修了と認定試験の合格、この二つの条件を満たす必要があります。
講習会を受ければ必ず合格するというわけではなく、試験はしっかりと知識を理解していなければ突破できません。ただし、テキストの内容を丁寧に学習すれば合格は十分可能であり、実務経験がある人ほど問題が理解しやすいという特徴があります。

講習会は毎年6〜7月受付、試験は11月実施（年度により変動あり）

看護師・臨床工学技士・理学療法士などが対象

実務経験2年以上が必要

勤務先の推薦が必要な場合がある

医療機関によっては、講習会受講に際して上司の推薦が必要となる場合があります。
特に大学病院や高度急性期病院では、部署内で受講者の調整を行うことがあり、教育体制として資格取得を推奨している施設もあります。早めに相談しておくことで、受講しやすい環境が整うでしょう。

申請に必要な点数（12.5点）の取得方法

5年ごとの更新に必要な点数と条件

更新には、過去5年間で認定委員会が定める研修会や学会参加などにより、所定の点数（50点以上）を取得する必要があります。点数は活動内容によって異なり、学会参加で得られる点数が比較的多く、手軽に取得しやすい傾向があります。また、講習会やワークショップも対象となることがあり、実務と合わせて効率的に点数を集めることが可能です。更新の具体的な条件は年度ごとに変更される場合があるため、定期的に公式情報を確認しておくことが大切です。

更新に関連する活動例

こうしたイベントは年間を通して開催されているため、早めに計画を立てて点数を確保しておく

更新で必要な活動や学会参加のポイント

更新の点数を計画的に取得するには、年度の早い時期から研修参加の計画を立てることがポイントです。学会は年に数回しか開催されないため、タイミングを逃さないようスケジュールを把握しておくと安心です。また、オンライン形式の研修が増えているため、仕事の合間に受講しやすい環境が整っています。実務と研修を両立させる工夫が、無理のない更新につながります。

最新知識の習得と「継続学習」の重要性

呼吸管理に関する技術や知識は常に進化しており、人工呼吸器の新しいモード、血液ガスの解釈法、酸素療法の指針など、定期的なアップデートが求められます。更新制度は単なる形式的なものではなく、臨床での安全性を確保するための大切な仕組みです。普段から学習を積み重ねておくことで、患者さんへのケアの質を維持しながら、専門職としての成長を続けることができます。

合格率は60〜70％前後

合格率は例年 60〜70％台 で推移しています。これは受験者全員が実務経験を積んでいる医療従事者であることを踏まえると、決して低くない難易度といえます。講習会の内容を理解していないと太刀打ちできない場面も多く、特に人工呼吸器や血液ガス分析などの分野では深い理解が求められます。模擬問題を繰り返し解きながら、出題傾向に慣れておくことが合格につながります。

講習テキストを理解すれば合格を目指せる

試験では、講習会のテキストから多く出題されます。内容は呼吸生理や呼吸器疾患、人工呼吸器の基礎などが中心であり、テキスト内の図表やポイントを理解しておくことで十分に対応できます。
そのため、難易度というより「勉強する量と丁寧さ」が問われる試験と言えるでしょう。

過去問・模擬問題が有効な対策

講習会のテキストに加えて、過去問や模擬問題集を解くことで理解が深まり、実践的な力が身につきます。
なぜなら、選択肢の引っかけ問題や、似たような病態の違いを問われる問題が出ることがあり、問題集で慣れておくと本番で戸惑いにくくなるからです。

呼吸管理の実務経験がある人は有利

呼吸療法認定士の試験では、臨床経験と結びつけて理解できる問題も多いため、人工呼吸器管理や酸素療法に携わった経験がある人ほど有利になります。
経験が浅い人もテキスト学習で十分にカバーできますが、現場経験がある人は理解がよりスムーズです。

講習会テキストを中心に学習する

最も重要なのは、講習会で配布されるテキストを繰り返し読み込むことです。
このテキストは試験対策用に作られているため、必要な知識がコンパクトに整理されており、テストで問われる内容がほぼ網羅されています。
また、図表が多く使われているため、視覚的にも理解しやすく、初学者でも効率よく学べます。

呼吸生理・呼吸器疾患を重点的に学ぶ

試験範囲の中でも特に重要なのが、呼吸生理（ガス交換・換気・肺の構造など）と呼吸器疾患（COPD・肺炎・ARDSなど）の基礎です。
これらの分野を理解すると、人工呼吸器の設定がなぜ必要なのか、患者の状態に合わせた管理の判断がどう行われているのか、といった臨床の深い部分が見えてきます。

Eラーニングや専門書で理解を深める

講習会の学習だけでは不安がある場合は、Eラーニングや専門書を活用するとさらに理解が深まります。
特に人工呼吸器の操作に関する動画教材は、設定変更の流れや注意点が視覚的に理解しやすく、現場のイメージがつかみやすくなります。

臨床経験と知識を結びつける

学んだ知識は、実際の臨床場面を思い浮かべながら復習すると定着しやすくなります。
例えば、「この患者さんはARDSだったから、陽圧換気が必要だった」といった経験を知識と結びつけることで、理解が深まり、試験問題に対応しやすくなります。

講習会費は約2〜3万円

講習会にかかる費用はおよそ2〜3万円程度で、他の医療系専門資格と比較するとリーズナブルです。
これには動画講義やテキストが含まれ、試験対策として十分な内容が提供されます。

試験受験料が別途必要

講習会費とは別に、試験を受ける際には受験料が必要です。
こちらも大きな負担にはならない範囲ですが、講習会費と合わせて総額を確認し、余裕をもって準備しておくと安心です。

人工呼吸器・酸素療法など実践的内容を学ぶ

講習会の内容は非常に実践的で、人工呼吸器の基本設定、安全確認、酸素療法の注意点など、臨床ですぐに活かせる内容が中心となっています。
そのため、講習を受けるだけでも日常業務のレベルが上がったと実感する人は多くいます。

Eラーニング中心で自宅学習がしやすい

多くの講習はEラーニング形式のため、自宅や職場で好きなタイミングで学習できます。
忙しい医療者でも、自分のペースに合わせて無理なく学習できる仕組みになっている点は大きなメリットです。

呼吸器管理の専門性をアピールできる

呼吸療法認定士は、呼吸管理に関する高度な知識を持っていることを明確に示せる資格です。
そのため、人工呼吸器の設定や観察が得意であることを客観的に証明でき、医療チーム内での信頼感が向上します。

多職種との連携力が向上する

呼吸療法はチーム医療で成り立つため、医師や臨床工学技士、リハビリ職と連携する場面が多くなります。
その中で専門知識を持っていると、意見交換がスムーズになり、より質の高いケアを提供しやすくなります。

転職やキャリアアップに有利になる（ICU・救急など）

ICU、HCU、救急外来、呼吸器病棟といった高度な判断が求められる部署では、呼吸療法認定士の資格が大きな強みになります。呼吸状態の変化を早期に察知し、適切な対応ができる人材は現場で高く評価されます。その結果として希望部署への異動や専門分野へのキャリア形成が進みやすく、転職時にも「呼吸管理が得意な人材」として判断されやすくなります。

資格手当や評価など待遇面でプラスに働く

資格取得は待遇面にも良い影響が期待できます。医療機関によっては資格手当が支給されることがあります。こうした待遇面のメリットは、長く働く上で大きな安心材料となります。