終末期ケア専門士の資格取得の
メリットは？試験の概要や勉強方法
まで徹底解説！

日本終末期ケア協会が認定する民間資格

終末期ケアに求められる広い専門知識

医療・介護職が取得を目指す理由

多くの医療・介護職がこの資格に関心を持つ理由は、以下のポイントにあります。

• 医療・介護現場で終末期ケアのニーズが増加している
• ケアの質を高めるための体系的な学習ができる
• 患者さん・ご家族からの信頼獲得につながる
• ホスピス・緩和ケア・在宅ケアへのキャリアの幅が広がる

実務での経験と知識に加えて、資格という形で専門性を示すことで、職場での役割が広がるケースも多くあります。

終末期ケアの専門知識と実践力を証明できる資格

がん・慢性疾患・認知症の看取り支援に強い資格

病院・施設・在宅で活かせる実践型資格

終末期ケア専門士は、特定の職場だけで役に立つ資格ではありません。病院の一般病棟・療養病棟、介護施設（特養・老健・有料）、訪問看護や在宅医療チームなど、ほぼすべてのフィールドで活かせる汎用性の高い資格です。
学ぶ内容が「実際の現場ですぐ使える知識」を中心に構成されているため、資格取得後は「説明スキル」「アセスメント力」「家族支援力」が自然と向上します。
また、終末期ケアはどの職場でもニーズが高く、「知識がある人から抜擢される」場面が増えやすいため、キャリアアップを狙う人には特にメリットがあります。
職場を変えても強みとして活かせる点は、転職のしやすさにもつながります。

信頼獲得・キャリアアップにつながる

看取りニーズの増加に対応できるから

家族支援や意思決定支援に強くなれるから

ACP（人生会議）の推進に役立つ専門性があるから

ACP（Advance Care Planning：人生会議）は、厚生労働省も積極的に推進している取り組みで、終末期ケアに欠かせない考え方です。
終末期ケア専門士では、ACPの基本、話し合いの進め方、本人の意思が確認できない場合の判断ポイントなど、実践に直結する内容を学びます。
現場では、「ACP担当者」「話し合いのファシリテーター」として役割を任されることもあり、資格を持つことで自然とリーダーシップを発揮しやすくなります。
ACPを理解しているスタッフは貴重で、病院・施設・在宅問わず重宝されるため、転職の場面でもアピール材料になります。

医療と介護の連携を強化できるから

疼痛コントロール・症状緩和の基本を習得

終末期ケア専門士では、痛みや呼吸苦、倦怠感、せん妄など、終末期によくみられる症状の理解が深まります。
医療と介護の両側面から症状を捉える内容になっているため、「症状をどう観察するか」「医師にどう報告すべきか」といった実践的な視点が身につきます。
これにより、介護職でも「痛みが強そうだけど、どのタイミングで看護師に相談するべきか」「この呼吸は注意が必要か」など、判断の迷いが少なくなります。
症状緩和の基本を押さえると、チーム全体のケアの質が向上し、利用者の安心にもつながります。

スピリチュアルケアとグリーフケアの理解が深まる

終末期には、身体的な苦痛だけでなく、「不安」「孤独」「死への恐怖」など、心理的・精神的な苦痛も大きくなります。
資格学習では、この“全人的苦痛”の考え方に基づいて、スピリチュアルケアや家族のグリーフ（悲嘆）への理解を深めていきます。
現場では、家族が混乱したり、感情が揺れたりする場面に遭遇することが少なくありません。こうしたときに、相手の気持ちを理解しながら寄り添うスキルがあると、家族支援の質が大きく変わります。
家族から「話を聞いてもらえて安心した」と言われる機会が増えるのも、このスキルを身につけるメリットです。

ACPや意思決定支援の実践力が身につく

ACP（人生会議）は、本人・家族・医療介護職が「どう生きたいか・どう最期を迎えたいか」を話し合う大切なプロセスです。
終末期ケア専門士では、このACPの進め方や、意思決定が難しい場合の考え方を学びます。
学ぶことで、「家族が迷っているときにどう支えるか」「本人の意思をどう尊重するか」といった場面でスムーズに関われるようになり、チームの中で頼りにされる存在になります。
ACPを理解しているスタッフは貴重なため、転職の際にも大きなアピールポイントになります。

家族対応や多職種連携のコミュニケーション力が向上

終末期ケアでは、複雑な状況を整理しながら、多職種と協力して支援を進める力が求められます。
資格学習では、家族とのコミュニケーション方法や、カンファレンスでの情報共有の仕方など、現場で必ず必要になるスキルが強化されます。
これにより、「説明役」「調整役」として自然にリーダーシップを発揮しやすくなり、職場からの信頼も高まります。
コミュニケーション力が向上すると、利用者・家族・チームすべての安心につながり、自分自身の負担感も減らせるというメリットがあります。

受験対象となる医療・福祉系の国家資格一覧

以下はいずれも受験資格として認められている代表的な資格です。医療系だけでなく福祉系まで幅広い職種が対象となっています。

終末期ケアは多職種が連携する領域のため、幅広い国家資格が受験対象となっています。

資格要件で注意すべきポイント

受験資格の確認では、次のポイントを押さえておくとスムーズです。

• 国家資格であることが必須
• 研修修了のみでは受験できない
• 取得済みの国家資格を複数持っている場合、どれか1つでも対象資格に該当すればOK
• 2年以上の実務経験が必要

終末期ケアの学習は幅広い職種に役立つため、受験資格の要件に該当しているかを事前に確認することが第一歩です。

CBT方式・90問90分の試験形式

終末期ケア専門士の試験は、以下のような形式で実施されます。

紙の試験ではなく、画面上で選択肢をクリックして回答します。CBT方式が初めての方でも、問題は見やすく操作も簡単なため、大きな負担なく受験できます。

出題範囲と公式テキストの重要性

試験問題はすべて 公式テキストと公式問題集から出題 されることが明言されています。
そのため、実務経験がどれほど長くても、テキストの内容を網羅的に理解していなければ対応が難しくなります。

• 終末期ケアの概念と倫理
• 身体的苦痛のケア（痛み・呼吸困難など）
• 精神的・心理的ケア（不安・せん妄など）
• 家族ケア・グリーフケア
• 在宅ケア・施設ケアの実践
• 意思決定支援とACP
• 多職種連携とコミュニケーション

幅広い領域からバランスよく出題されるため、公式テキストの通読は必須です。

試験の時期・申し込み方法の流れ

試験は 年に2回（春・秋の試験期間） に実施されます。詳細な日程は日本終末期ケア協会のWebサイトで公開され、受験者は希望する日程と会場を選んで受験します。

1. 日本終末期ケア協会のWebサイトから受験申込み
2. 審査結果の通知送付
3. 試験会場の予約
4. 当日テスト会場にて受験
5. 結果は後日郵送と受験者専用ページアプリで通知

パソコン操作が多い方はスムーズに受験しやすく、働きながら資格取得を目指しやすいのが特徴です。

合格率60〜70%の理由

合格率だけを見ると「簡単そう」に感じるかもしれませんが、次の理由から中程度の難易度が妥当です。

• 受験者は医療・介護の有資格者であり、基礎知識を持つ人が多い
• 試験問題は公式テキストから出題されるため、学習内容が明確
• CBT方式のため、記載ミスなどのケアレスミスが起きにくい

その一方で、終末期ケアは範囲が広く、倫理・身体・精神・家族支援など多分野からバランスよく問われるため、通勤中のスキマ時間だけで対応できるほど軽い内容ではありません。

難易度は「中程度」と言える根拠

終末期ケア専門士の難易度が “中程度” とされる理由は以下のとおりです。

• 初見で答えにくい概念問題が一定数含まれる
• 身体症状や緩和ケアの知識は、医療職でも忘れがちな領域
• 精神的ケア・ACP（意思決定支援）の分野は背景理解が必要
• 家族支援やグリーフケアなど、経験だけでは判断しにくい領域が多い

特に、実務経験が長いほど「現場でのやり方」と「テキスト上の正解」が食い違う場面が出るため、テキストを軸に理解し直す必要があります。

実務経験だけでは難しい理由

医療・介護現場では、終末期ケアの判断を経験則で行う場面が多くあります。しかし試験では「公式テキスト」に基づいた選択肢が正解となるため、感覚的な判断では誤答につながることがあります。

• 尊厳・意思決定に関する倫理問題がテキスト特有の表現で出題される
• 身体症状（呼吸困難・倦怠感など）の専門知識が詳細に問われる
• 家族支援のモデルケースなど、現場では触れにくい内容が登場する

このため、公式テキストの反復学習と問題集でのアウトプットが不可欠です。

公式テキストを使った「3周読み込み法」

公式テキストは全範囲から出題されるため、繰り返し読むことが合格への近道です。
効率的に知識を固めるためには、次のような3周方式が効果的です。
1周目：全体像をつかむために通読
2周目：重要キーワードや理解しづらい部分に印を付けて精読
3周目：試験に頻出するテーマを中心に知識を定着
ポイントは、「完璧を目指さず流れを理解する」こと。終末期ケアの概念や家族支援、ACPなどは背景理解が重要なため、まずは大枠で捉えることが大切です。

公式問題集を使ったアウトプット中心の学習

試験は択一または択多問題で出題されるため、問題集を通じて「問われ方」に慣れることが必要です。
特に公式問題集は、テキストと対応した構成になっているため、間違えた問題をすぐテキスト部分に戻って確認できます。

この「問題 → テキスト → 問題」の循環学習により、理解の定着が格段に高まります。

ノートにまとめすぎない・付箋活用が効率的

終末期ケアの範囲は広く、テキスト全体をノートにまとめると膨大な時間がかかってしまいます。そのため、重要ポイントだけを付箋に書いて挟むなど、負担を最小限にした方法が推奨されます。

• よく間違える部分だけ短文で付箋に書く
• テキストの余白に簡単なメモを追加しておく
• ページの角に色付箋を貼り、テーマごとに分類

こうした仕組みにより、試験直前になっても必要部分だけを素早く見返せます。

リーダー・教育担当を任されやすい

終末期ケア専門士を持つと、看取りや重度ケアが必要な現場で「判断の軸を持っている人」として評価されやすくなります。
そのため、新人教育や後輩指導、終末期ケアに関する相談役など、リーダー的な役割を任される機会が自然と増えていきます。
とくに終末期ケアはスタッフの不安が大きくなりやすい領域のため、「現場を落ち着かせる存在」として重宝されることが多いです。
リーダー経験を積むことで、チームマネジメント力も高まり、将来の管理者候補としての評価にもつながります。

施設内研修の企画運営で評価が上がる

終末期ケア専門士が持つ知識は、施設内研修や勉強会で非常に活かしやすい内容です。
たとえば「看取り時の家族対応」「急変時に気をつけたいポイント」「ACPの基礎」など、現場のスタッフが困りやすいテーマをわかりやすく共有することができます。
研修を主導できる人材は組織にとって貴重で、評価されやすく、昇給や役職への推薦にもつながりやすいです。
また、研修を通じてスタッフ全体の質が上がると、施設のケア品質向上にも直結するため、管理者からの信頼も厚くなります。

加算や運営基準の理解が深まり管理職に近づく

終末期ケアは加算制度や運営基準と深く関わっており、制度理解があるスタッフは管理職にとって非常に頼りになる存在です。
終末期ケア専門士の学習を通じて、「どのような状態の利用者にどんな支援が必要か」「記録はどう残すべきか」といった制度面の理解も自然と深まります。
これにより、ケアマネジャーや看護師との連携がスムーズになり、サービス提供の質の安定にも寄与することができます。
制度理解を持つスタッフは、主任・管理者・リーダーの候補として優先されやすく、キャリアアップの幅が大きく広がります。

人材育成や品質改善に関われる立場になれる

終末期ケア専門士の知識を持つと、現場の課題に気づきやすくなり、改善に向けた提案もできるようになります。
たとえば「最期の過ごし方を事前に話し合える仕組みを作る」「家族への説明資料を整える」など、組織全体のケア品質を高める取り組みにも関わることができます。
こうした姿勢は、管理者から高く評価され、運営側の仕事に関わるチャンスにもつながります。
「現場で頑張るだけのスタッフ」から、「組織に貢献できるスタッフ」へと成長できる点は、資格取得の大きなメリットです。

病院の緩和ケア・一般病棟で評価される

病院では、緩和ケア病棟だけでなく、一般内科・外科・療養病棟でも終末期の患者さんと関わる機会が多くあります。
終末期ケア専門士を持っていると、「症状緩和の考え方が理解できている」「家族対応が適切にできる」などの理由から、現場での即戦力として期待されやすくなります。
また、看取りカンファレンスや多職種会議で役割を持ちやすく、配属先の選定でも優遇されるケースがあります。
病院勤務を希望する人にとって、この資格は大きな強みになります。

特養・老健・有料老人ホームで即戦力として働ける

介護施設では、看取りケアの質向上が重要なテーマとなっています。
特養・老健・有料ホームなどでは、終末期ケア専門士の知識が日常のケアにそのまま活かせるため、資格があるだけで信頼されやすく、採用で大きくプラスに働きます。
特に、重度の利用者が多い施設では、症状の変化に気づける力や家族説明のスキルが高く評価されます。
施設側からすると“育てる必要がない人材”として貴重で、採用時の評価が上がりやすい資格です。

訪問看護・在宅医療チームで活躍の場が広がる

訪問看護や在宅医療では、「自宅で最期を迎えたい」という希望をもつ利用者が増えています。
終末期ケア専門士を取得していると、症状アセスメントや家族支援の基本が身についているため、訪問の現場で役立つ場面が非常に多くあります。
また、在宅医療では“1人で判断する場面”が多いため、基礎知識があるスタッフはチームから信頼されやすく、採用側としても安心して任せられる存在になります。
在宅分野へキャリアチェンジを考えている人にとって、大きな追い風になる資格です。

資格保有が転職時のアピールポイントになる

終末期ケア専門士は、まだ全員が持っている資格ではありません。そのため、履歴書に記載することで「ほかの応募者との差別化」がしやすくなります。
転職面接でも、「なぜ終末期ケアを学んだのか」「資格取得でどんな気づきがあったか」を語れるため、キャリアへの意識が高い人材として評価されやすくなります。
採用側は“終末期ケアに向き合えるスタッフ”を求めており、資格があることで採用につながるケースも少なくありません。
資格保有は、転職成功率を高める確かなメリットになります。

終末期特化で介護福祉士より専門性が高い

介護福祉士は介護の専門資格ですが、終末期ケアに特化した内容は多くありません。
一方、終末期ケア専門士は“終末期に必要な知識”に特化しており、看取りケアに関する理解が大幅に深まります。
介護福祉士に終末期ケアの専門性が加わることで、施設内での役割が広がり、リーダーや看取り担当として抜擢される可能性も高くなります。
介護職がキャリアアップを目指すうえで、非常に相性の良い資格です。

認知症ケア専門士とは学ぶ領域が異なる

認知症ケア専門士は「認知症に特化した支援」の専門資格であり、認知症の理解や対応スキルが中心です。
一方、終末期ケア専門士は、認知症だけでなく、がん・心不全・肺疾患・腎不全など幅広い疾患をカバーします。
終末期全般のケアがテーマのため、学ぶ範囲が広く、より多職種で活かしやすい構成になっています。
両方の資格を取得すると、認知症の終末期にも強くなり、支援の幅が大きく広がります。

緩和ケア認定看護師より幅広い職種に対応

緩和ケア認定看護師は高度な専門資格ですが、対象は看護師のみです。
終末期ケア専門士は、介護職・リハ職・ケアマネなど、多職種が受験できるため、医療と介護の双方で活かせる点が最大の違いです。
内容も「現場で今日から使える知識」が中心で、症状緩和・家族支援・ACPなど、日常ケアに直結したテーマを扱っています。
そのため、職種に関係なく終末期ケアの基礎を固めることができ、幅広い現場で即戦力として評価されやすくなります。

多職種が活かせる実践的な資格

終末期ケア専門士は、病院・施設・在宅のどこでも応用できる実践型資格です。
終末期ケアでは、看護師・介護職・リハ職・ケアマネ・相談員など、多職種が関わるため、共通の知識を持つことでチーム連携が格段にスムーズになります。
この資格を持つことで、どの職種であっても“終末期ケアに強い人材”としてすぐに役割を持てるようになります。
実践性と多職種対応が揃っている点は、終末期ケア専門士ならではの魅力です。